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これは誰が得するんだ? 認知症男性の徘徊事故JR逆転敗訴

認知症の老人が踏切に迷い込み、事故を起こした事件(2007年愛知県)。3月1日に最高裁判所の判決が下ったようです。

www.nikkei.com

 

さて、この判決について、世間では家族側の立場から賛同している人が多いようだ。確かに家族側からすれば賠償金720万円を支払わないで済んだ、のだから良かったということなのだろうか。

何とも頭の悪い話である。

 

この事件2007年から約9年にも渡って争われている。その間の弁護士報酬、裁判に費やした時間、心の負担。家族側は720万円以上の損失を出しているだろう。

 

では、「お金の問題ではない!責任の所在をはっきりさせたことに意味がある。」と考えたらどうだろう。

その場合、「認知症の老人は家族ではない」と主張していることになる。何とも非人道的な意見だ。家族が起こした問題は身内で責任を取るというのは一般的な考え方であろう。

なお、家族の方は判決に対し以下のようにコメントしている。

「大変温かい判断をして頂き、心より感謝申し上げます。父も喜んでいると思います。」(認知症事故判決「家族にとって救い」 誰が責任…課題も:朝日新聞デジタル

 

認知症老人は家族ではない、という主張をご本人が喜んでいるとは到底思えないのだが。

 

さて、事故の損害はJR側が負担することになった。それはつまり、私達利用者が「料金の値上げ」という形で負担するということである。直ぐに値上げはされないだろうが、このような事故が続き、鉄道会社側が負担し続ければ経営が悪化し料金を値上げせざるを得なくなる。

一利用者としては大変残念な結果だ。

 

では、どうしたら丸く収まったのだろう。

ご家族が、JRから損害賠償を請求された時点で「今回は大変ご迷惑をお掛けしました」と責任を認め、損害を支払うべきだったのではないかと思う。

そうすることで「高齢者の介護は家族が担う」という意識が定着し高齢化社会に対する諸問題を解決にすすめることができるのである。

 

最後に、家族が賠償を負うことについて、とは言え金銭的な負担は無視できないのが現実である。

これに対し、三井住友海上火災と、あいおいニッセイ同和損害保険が「個人賠償責任保険」の契約内容を改定し対応する方向に動いている「認知症損害」家族の負担をカバーする保険あった JR東海訴訟で契約内容を変えた損保 (J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース)。

上記の改定では今回の事件をカバーすることはできないが、良い傾向である。